cherry belly christmas

俺は、記念日というものが好きだ。
記念日を祝うのが好きだ。
「その日でないと意味が無い」ということに
限りない刹那さを感じるのだ。
だから、友達の誕生日や
彼女とつきあい始めた日などを
恐ろしく大事にしている。

で、もちろん、クリスマスも大好っき！　
なのだ。

様式めいた、
などと言われてもしょうがないが
クリスマスには必ず
ケーキとシャンパンを食う。
彼女が居ようが居まいが、
クリスマスが好きなことに変わりは無い。

しかし、今年俺は、
あえて少しおかしな行動を取った。

先週の3連休中に
「あー、来週は仕事忙しいから
　ちょっと速いけどメリークリスマース」
などとワザと早目に、
「イベントとしてのクリスマス」
を終わらせたのだ。

そう、オニャレな店で食事して
ハートフルなプレゼントを交換したり、
ライトにキスしたりする
「クリスマスイベント」を、だ。

実は、ここ十年ほど
毎年クリスマスは誰かと大騒ぎしていたので

…今年ぐらい、独りで過ごしたかったのだ。

高校2年の頃、
当時の彼女と別れたばかりで過ごしたクリスマスは
とてもココロに残っている。
でも、そのほかの、色んな楽しい思い出は
「それが楽しかった」ことは覚えているのだけど
細かいディテールはほとんど忘れた。

そんな「おごそか」な「ギャップ」を
再び味わいたくなったのだ。

コンビニでケーキとシャンパンを買って
テレビ見ながらダラダラ過ごしていると、
途方も無い時間が過ぎ去ったことを感じた。

なんともない。

寂しくも、切なくも、なんともない。
普通の火曜日じゃん。

そうか、
大人になるってこういうことなのか、
と妙に自分に感動した。

ふと気づくと携帯に数件メールが届いていた。

「メリークリスマス♪来年もよろしく」

なんだかホっとした。